第1回平成14年度会長提言特別委員会議事録(案)
日 時 :平成14年8月8日(木)17:30〜19:40
場 所 :土木学会会議室
出席者 :岸委員長、高辻、中川、林、杉山、村田、名倉、北川、京谷、佐藤、高松、谷口、西田、古木、井上、酒井各委員、松尾、永井、鈴木(俊)、鈴木(幹)、石郷岡各事務局
(配布資料)
資料−1 H14年度会長提言特別委員会 活動計画骨子
資料−2 社会への情報発信の仕組みに関する検討(案)
資料−3 電子会議室の事例紹介と学会保有資産(コンテンツ)調査中間報告
別添資料−1 2002年度学会長特別委員会 活動計画(案2001.12.14)
別添資料−2 平成14年度会長提言特別委員会準備会(第1回)議事録(案)
別添資料−3 アンケート(情報発信のあり方)結果のまとめ
別添資料−4 アンケート(HP予備調査)結果のまとめ
別添資料−5 平成14年度会長提言特別委員会準備会(第2回)議事録(案)
議 事 :
1.岸委員長挨拶
今回、このテーマを取り上げたのは、学会として社会に発信する努力は過去さまざまな形で取り組んできたが、形となって現れない、新聞・マスコミに取り上げられない、逆にマイナス面だけが取り上げられるなど世の中に見える形の成果が得られていないのが実状であり、学会としてのイメージを上げ、一般の所に届くためにどうするか、考え、実現していきたい。
2.H14年度会長提言特別委員会設立趣旨と活動計画について
井上幹事より、資料−1ならびに別添資料−1〜4に基づき、準備会での議論ならびにその結果を反映した設立趣旨と活動計画について説明され、以下の議論がなされた。
(谷口委員)
Webを活用した情報発信をしても社会にはとどかないのではないか。課題は、マスコミ対策をいかにするかではないか。
(岸会長)
社会が何を聞きたいかにより情報発信の仕方は様々ありWebだけでなく、シンポジウムを開くなどの形も考えられる。現状では、学会として社会から何が聞きたいのか受信する機能も不足しており、高度な問題だけでなく素朴な質問にも答えていくようなことも重要と考えている。
(谷口委員)
例えば、道路公団の民営化など世間で話題になっているようなこともWeb上で議論していくのか。
(岸委員長)
今まで学会、あるいは土木界としてこの様な話題に対して説明してきていない。Web上の場で議論することも良いと考えている。
(林委員)
学会を知ってもらうには、社会とのコミュニケーションを図ることと会員が情報発信することの両方が必要ではないか。社会とのコミュニケーション活動を実績がない状態でマスコミ対策をしても、テクノパワーの企画・制作への協力や阪神大震災対応など学会や会員がいかに努力しても社会は認めてくれない。また、先ほどの道路公団の問題についていえば、道路は量的に必要なのか、需要予測が課題ではないかなど会員の何人かが情報を出し、社会とのコミュニケーションを図っていくことが必要であり、現在不足していることではないか。
また、このような活動を継続していくには、コンテンツを常に準備する集団が必要である。
(高辻委員)
色々やっていると言うが、実はそれほどやっていないのではないか。
そういった意味で、気軽に発信してもらえる場を学会が用意すること、また、学会に話題が集まるような仕組みが必要と考えている。
(京谷委員)
編集委員会で学会誌上での紙上討論会を実施したり、こどもに語るシリーズを企画したりしている。学会誌は、発刊までに時間がかかる。束ねたら面白いような物を学会誌で行うのが良いと思う。
一方、昨年の九州の全国大会でパネラーをされた本間さんの指摘の中の幾つかは、事実誤認によるものと思われる。恐らくWeb上からも情報を収集していると思われるが、調べても出てこなかったのではないかと考える。こういった所に学会のHPをもっと活用できないか、即効性のある仕組みが必要ではないか。
(古木委員)
対社会を考えた場合、技術者は、みんなが問題視している視点に立っていないのではないか。また、土木学会そのものが、それを知らないこともありうるのではないか。学会として社会からの受信には、問題があると考えている。
3.社会への情報発信の仕組みに関する検討(案)について
酒井幹事より、資料−2ならびに別添資料−5に基づき、社会への情報発信の仕組みに関する検討(案)および現在実施中の特別上級技術者他へのアンケートの途中経過について説明され、以下の議論がなされた。
(杉山委員)
今お聞かせいただいた内容について、意見をまとめさせていただきます。
・目利きに対して、どうやるのか(場のコントロール)、例えば、データと意見をわけるなどやり方を最初に明確にする必要があるのではないか。
・技術的な話題については、答えに対する責任はどうするのか。選択肢を示す(アドバイスする)ことが重要ではないか。
・答える人が限られてくると最後は人材バンクのように成ってしまうのではないか。
・具体的な仕組みの機能として、議論をしていく人に解りやすいように、ディスカッションごとに結論から時系列的に見える仕組みがあると良いのではではないか。
・最後に、それを外から見てもらうことを促すような活動をし、話題となるようにし向けることも必要ではないか。
(岸委員長)
回答者は、仕組みが動き出してから良い人を推薦してもらうこともできる。また、特別上級術者は多面的に優れている人を人選している。
目利きの役割や免責事項などの必要性は認識しており資料の中でも触れている。詳細は、今後の具体化の中で検討していきたい。
人材バンク的に成っていくのはとのとおりである。推進機構設立のねらいの一つが人材の活性化であり、その最初のケースになるのではないか。
(中川委員)
Web上でフリーに議論してもらう場合、2チャンネルのような訴訟問題の例もあり、何らかの場の管理やルールが必要。
Webを使っていくと学会の集団というより個人が主役と成ってくると思う。一人一人の貢献を見ていくと土木学会が解ってくるといった状態になるのではないか。
(佐藤委員)
情報交換をする場も重要と思うが、啓蒙をはかるコンテンツを作ることも重要ではないか。
今までの学会活動では、社会から聞くという活動が不足していたのではないか。また、一般の人たちは、今までの努力を間違って理解しているとの認識を持っている。きちんとやっていることを知らせることが必要と考える。
このために、委員会でちゃんとしたコンテンツを作ることが必要であり、これを促進するためのインセンティブを与える仕組みが必要と考える。そうしないと委員会は、最新の研究の話が主となって、啓蒙を促すようなコンテンツを作ることがおろそかになる。
行司は、学会の中に作っては行けないような気がする。作ると同時に、場の信頼が失われてしまうのではないか。シンポジウムなどを見ていて良いと思われた物は、やはり、他学会や一般の人有識者が場をコントロールしていた。
(京谷委員)
場を運営する組織を提案していたが、学会誌の編集委員会以上に強い権限を持った人や組織が必要に成ってくる気がする。
これがうまく機能していけば、デイリーで見られる状態に成っていけばWebが新聞で、学会誌が月刊誌といった形が作り出せるのではないか。そのためにも、新聞を管理する組織が重要になってくる。
(酒井幹事)
色々たいへんだという意見もあるだろうが、やはり目利きの人には、毎日みてもらう必要があると考えている。
(京谷委員)
今回の仕組みが新聞の編集委員のような位置づけとなり、学会誌の編集委員会が月刊誌の編集委員として機能すると面白いのではないか。
(岸委員長)
新聞の編集委員とは、少し違う。今回の提案は参加者に自由に発言してもらうことが主であり、編集というと意図的に方向付けをするイメージがある。目利きの役目は、議論の場を見ていてどう話がつながっていくか、色々意見が出て白熱している議論をどうやめさせるか、方向を見失なったり、同じ意見が繰り返されているなど場をコントロールし方向付けをしていくことである。
(佐藤委員)
各委員会などが情報発信する場として使うことも考えられるのではないか。回答グループは、各委員会が対応しているのか。
(岸委員長)
この提案では、学会の認定制度のグループ、11グループに対応している。各グループより10程度の技術者に参加してもらう。
(酒井幹事)
委員会ベースでは、かなりお忙しい世代の方が中心になっていると考え、技術的にも高度な知識をお持ちの特別上級技術者の方を中心に考えている。
(高松委員)
私の個人的な経験ではあるが、今回提案されたのと同じようなフリーディスカッションの場を開設したことがある。この時、話題はプロジェクトXでありましたが、ある女性の方から批判的な意見がでました。これに対し、別の方が正論ではあるがラジカルに反応され、収集が付かなくなって場を綴じた経験がある。
今回の場も、会員だけでなく一般の方も議論に参加されるわけで、目利きの役割が難しい。正論であっても強烈に反応される方もあり、削除しようか、しかしフリーである以上削除できないのではとの場の管理者の中で議論もあった。実際の運営では難しい局面もあった。
(京谷委員)
話しているとソフトだか、書き言葉は厳しい方もおられる。
(高辻委員)
貴重なご意見をありがたく思います。やはり、学会が行う場としては継続的に続くことにより土木技術者を知ってもらうことが重要と思います。今回提案した内容を動かしていきながら、より良い物にしていきたいと考えます。
(杉山委員)
全然発言しない、スーパーバイザーの様な人を場の外に置いておいて、ディベートの勝ち負けのレフリーをする様な仕組みも必要かもしれない。目利きの目利きの様な人。
(岸委員長)
登録抹消のようなことは出来るのですか。
(井上幹事)
場にアクセスするときにメールアドレスによる本人特定の仕組みを考えており、管理者がそのアドレスを削除し、場に参加することを出来なくすることはできる。ただ、無料のメールアドレスなどを再度取得し、登録されてまた場に参加されることも考えられ、完全に排除することは難しいと考えます。
(村田委員)
もう一つ難しいのは、排除された方が、別のサイトにいって土木学会の批判をすることを防げないことである。
ただ、今まで日本の学会がこのような試みをしたことはなく、土木学会がこの様な場を作ることは重要なこと考える。また、人材バンクという指摘もあったが、個人があまり出てこなかった世界が変わることは良いことではないか。
データと評価や意見を判断し、コントロールしていくのは、目利きの役割である。
目利きどうしがディベートし始めてしまうことも考えられ、このような時は、自ずとスーパーバイザー的役割の人が出て来てくれるのではないか。
(岸委員長)
一つの課題に対して専門家どおしが、ディベートを始め議論が白熱するというのは、極めて望ましい方向と思う。
(村田委員)
意見の中には中立と独立というものがあって、単に中立では何も意志がないようで不信がある、独立があるから意志が現れると思う。独立性を表していくことの方が議論しやすいのではないか。
先ほどの意見の中で、アドバイザーとして質問者にどうですかと選択肢を示すということは正しいことで、学会が場を提供して、複数の個人の意見を提示しているのであって、個人に対して責任はないことを明確にしておくかないと意見が少なくなってくる。
4.電子会議室の事例紹介
井上幹事より電子会議室の事例として、資料−2でも紹介されたデジタルニューディールを取り上げ、実際にインタネート接続し、その機能を中心に説明され、以下の議論がなされた。
なお、先に杉山委員より指摘のあった、議論を解りやすく見せるために質問ごとに質問と回答を並べて見せる機能の事例も紹介された。
また、中川委員よりWebWGにおいて、現在必要な機能について議論し、議論の場を実現していく案を検討していること、次回委員会で示せるよう検討を進めることが報告された。
(西田委員)
今回提案された仕組みは、掲示板なのか、フォーラムなのか、電子会議室なのか明確にしてほしい。ただ、どの方法であろうとも、学会自信が問題提起していくことが重要と考える。
(井上幹事)
機能としては、登録した人が自由に発言、回答する場であり特に型式にこだわってはいない。
(西田委員)
質問には、技術的なものも、社会的なものも入ってきてしまい、これらを分けて置いたほうが良いのではないか。
(井上幹事)
現在は、テストする段階であり、仕組みは1つとして行っていきたい。将来、質問が多数入ってきて内容がわかりずらくなったりした場合は、場を複数に分けるなど対応を考えたい。
(西田委員)
この様な機能をWeb上に設けることも必要と考えるが、社会的問題に対しては学会としての見解をもって、積極的に発信したり、フォーラムを開くなどしていって欲しい。
(岸委員長)
具体的にはどのようなことか。
(西田委員)
例えば長良川の河口堰や吉野川の堰の問題のように委員会などで検討し、社会に発信していくことです。
(酒井幹事)
今回提案している仕組みの中で、個人の発言の場では解決が付かないような問題については、学会で取り上げる仕組みを提案した。
(岸委員長)
個人の発言の場で問題点を深めていき、次のアクションに結びつけていくのも仕組みのねらいの一つと考えている。
(西田委員)
Webの整備・構築とあわせて、事務局の管理・運用体制を整える必要がある。
(事務局長)
その方向で検討したい。
以上